低融点合金と耐熱シリコンで簡単に行う鋳造方法【初心者向けガイド】
こんにちは、まーくいものです。
今回は耐熱シリコンを使った鋳造方法について詳しく説明していきます。
「低融点合金で鋳造してみたい」「自作の金属のアクセサリーを作りたい」
という方の役に立てればと思います。
実際に作った物をこちらで販売しているので気になった方はチェックしてみてください。
動画も投稿しているので合わせて見て貰えると理解が深まると思います。
この記事では高温の金属を溶かした具体的な鋳造方法を書いてますが、真似をされる方は自己責任でよろしくお願いします。
材料
低融点合金を使った鋳造は以下の物が必要になります
シリコン型を作るのに
鋳造するのに
既に鋳造で作りたい物があるならそれを原型に鋳物を作っていけばいいですが、
自分で作るのなら3Dプリンターが鋳造と相性が良いと思います。
今回はシリコン鋳造なので、光造形の3Dプリンターがあると鋳物の肌が綺麗に出ると思います。FDM(熱溶解積層方式)の3Dプリンターで原型を作ると積層痕がそのまま肌に出てしまうので、綺麗に出来ません。綺麗さを求めていないのならFDMでも良いと思います。
材料や道具はネットで大体揃いますが百均で安く済ませても良いと思います。
費用は二万円あれば出来ると思います。
自分でデザインした原型を使用したい方は3Dプリンターが必要になります。
印刷する材料込みで三万円~五万円です。
シリコン型の作成
鋳造する原型をシリコンで型を取っていきます。
低融点合金で鋳造する時に使うシリコンは耐熱シリコンを使用します。
この時使う耐熱シリコンは個人的にですが旭化成のワッカーシリコンを使うのをおすすめします。
値段が少し安い物を最初に使ったのですが、固まるタイミング、気泡の抜け具合等、使い勝手が悪かったので、二つ使ってみた感じだと旭化成の物が初心者向きだと感じたので、これから作られる方は値段が少し高いですが、旭化成の物をおすすめします。
耐熱シリコンで型取りする時は換気をしながら作業します。少しでも零すと床がツルツルになるので、何か敷いてから作業すると良いと思います。
配置を考える
鋳造したい原型を用意します。
今回は光造形で印刷した、ずんだもんのメダルをホワイトメタルとピューターで作ります。
型取りブロックとグルースティックを置いて大体の型の配置を決めます。
グルースティックは金属が流れる道になります。
ストロー等でも出来ると思いますが、ストローは空洞にシリコンが入って気泡が出来る原因になるので、ある程度固さもあるグルースティックをおすすめします。
型取りブロックはレゴブロックみたいな物でやってましたが、個人的には専用の物の方が扱い易かったです。
ブロックを積んでねんどを詰める
敷き詰めたねんどは平らにします。
この時ヘラか麺棒があれば平らにし易いと思います。
原型とグルースティックを埋める
半分ねんどに埋まる位に原型とグルースティックを埋め込みます。
少し穴を掘ると埋め込みやすいと思います。埋め込む際に汚くなったらヘラ等で整えます。
この段階で原型とグルースティックは接してなくても大丈夫です。
小さい穴はシリコン同士が合わさった時に動かなくする為の凹みです。
これはこの段階でやらないと後々面倒な事になるので、鉛筆でも六角レンチでも
何でも良いので必ず凹ませます。深く凹ませる必要は無く3~4mm程で大丈夫です。
シリコンを流し込む
シリコンの必要量は縦×横×高さ÷1000=必要なシリコン量になります。
(例えば100×100×25÷1000=250g)
硬化剤はシリコンによって違うかもしれませんが、
シリコン100gに対して硬化剤3~4gです。
使う容器は使い捨てに出来る百均のクリアカップを使うと便利です。
シリコンを流す時は糸状に細く流し込むのが良いです。
筆を使って原型を先に塗るという方法もネットで見ましたが、シリコンによって固まり具合等も違うので基本的には「糸状に細く流し込む」やり方が良いと思います。
原型が見えなくなるまでシリコンを入れたら全体に流し込んでいきます。
流し終わったらブロックを軽く叩いて気泡が抜ける様にすると良いです。
この時、安物のハンディーマッサージ器があると便利だと思います。
ある程度気泡が抜けたと思ったら硬化するまで待ちます。
硬化したらねんどを取りもう半分シリコンを流し込む
硬化したら一度ねんどを外します。
この時、原型、グルースティックが取れない様に気を付けます。
シリコンに付いたねんどを取ります。
ねんどを取ったらもう半分シリコンを流しますが、この時必ずシリコーンバリアーを塗ってください。
シリコーンバリアーを塗らないとシリコン同士が引っ付いて剥がせなくなるので、
使い物になりません。
必ずシリコーンバリアーを塗ってください。
もう半分シリコンを流し終わったら硬化するのを待ちます。
シリコンを分割して加工する
シリコンを分割して原型、グルースティックを取り出します。
シリコンが裂けない様に無理に剥がさずゆっくり剥がします。
金属が通る道と注ぎ口を彫刻刀等で切り取ってシリコン型を加工していきます。
この時に原型と金属の通り道を繋げる様にしてください。
ゲート部分は大きく繋げると、後で外す時に大変なので様子を見ながら切るか、原型部分に出っ張りを付ける事で後工程の作業が楽になるかもしれません
外側に飛び出たシリコンを切って成形したらシリコン型の完成です。
低融点合金を流し込む
型が出来たら低融点合金を流し込んで鋳物を作っていきます。
今回はホワイトメタルとピューターが手元にあったので使っていきます。
ホワイトメタルは物によっては有害な鉛が含まれる物があるそうなので、いつもAmazonでホワイトメタルの一種を購入しています。ピューターもAmazonで購入した物です。
家庭用のカセットコンロで溶けますが、溶けた金属がボンベ等に飛び散らない様に気を付けてください。温度調節機能があるコンロだと温度が上がらず溶けないと思います。
シリコン型はそのままでは使えないので木の板を挟んで使います。
この時型を留めるのに輪ゴム等は使わないでください。
熱で溶けて危険です。
流し込む時はとても危ないので耐熱グローブ、保護メガネ等、十分に安全に配慮しながら作業を行ってください。金属を流し込む前にタルクを塗っておくと出来栄えが良くなります。
ホワイトメタル、ピューターどちらにも言える事ですが、溶かす温度は高くても低くてもダメです。低すぎると型に上手く流れず、高すぎると鋳物の肌が汚くなり出来栄えが悪くなります。
低融点金属を溶かしていると不純物が出て来るので掬って取り除くと良いです。
最初はシリコン型が温まっていないので上手く鋳造出来ないと思いますが、3~4回やると上手く出来る様になります。
この辺は感覚でやっているので実際に経験しないと分からないと思います。
金属の温度で出来栄えがとても変わるので何度も試して調整してください。
取り出し・仕上げ
金属を流して3~4分後位にゲート部分をラジペンで持って、ペンチで切って余分な部分をヤスリで削れば出来上がりです。金属が熱い場合があるので気を付けて作業してください。
仕上げにはワイヤーブラシなどで磨くと光沢が出てきます。
少し表面がザラザラしてても磨けば良くなります。
まとめ
アルミ鋳造と違って低融点金属(ホワイトメタル、ピューター)を使えば家庭で簡単に鋳造が出来ます。素材も手に入り易く、加工もしやすいので鋳造初心者でも扱いやすいです。
何度も言いますが高温の金属を扱う為、何かあっても自己責任でよろしくお願いします。
分かり難い所があればXやYouTubeでコメントを頂ければ、分かる範囲で良ければお答えします。